中医治療を目指すには「5つの力」を意識する必要があります。
@ 中医理論を深く理解する力
専門用語を正しく理解すること、そして病因病理の分析を正しく行える力などを含みます。
中医治療に第一歩として、中医学の専門用語や概念を正確に理解することが、正しい中医診断に結びつきます。
例えば、
悪寒と畏寒の共通点、相違点は説明できますか?
悪寒と畏寒の共通点や相違点を理解できてこそ、冷え症の治療に繋がります。
悪寒は実証か虚証か、裏証か表証なのか判断できますか?
悪寒の虚実、表裏が理解できてこそ、慢性病の治療に繋がります。
不眠の病理反応は、実証か虚証がありますか?
不眠症の虚実を理解してこそ、不眠症の治療に繋げられます。
A 自ら問題を解決する能力
中医診断は正しかったのか、それは選択した薬に表れます。
自分自身が方剤について理解していない、病気の治療方法を理解していない、問診に問題はなかったかなどなど、自ら調べる探究心が大切です。
「○○湯はキレが悪い」などの話を聞く機会がありますが、薬効が得られなかったのは、本当に薬に問題点があるのでしょうか?複雑な病証を通じて、理解できていることは何か、理解できていないことは何か、またどう対応して効果的に治療を行えるかなど、学ぶ姿勢を忘れてはいけません。
B 病気を判断する能力
時間をかけて問診することに患者さんも医療従事者も満足感を得る場合が見受けられます。
時には重要で有益な時間でもありますが、問題点もあります。
臨床では、まず診断に必要な病状の把握が最も重要となり、病気の性質・部位・程度を正確に判断しなければなりません。その為には時間をかけることではなく、要点を押さえ、問診する内容には目的を持たなければなりません。
C 「病気を治す」治療力
病気の性質・部位・程度を正確に判断して、適切な処方を組み立てる能力です。
病状から病名を診断し弁証論治を行います。治療には十分な理論学習と臨床経験での応用の積み重ねが大切です。時に、十分な効果を得たことに満足してしまう場合がありますが、根本から「同病異治」と「異病同治」を行える能力を培う努力を忘れてはいけません。
D 中医臨床力を伸ばし続ける能力
中医学は3千年の歴史があるといわれています。ところが不変なものではなく、発展しつつあります。発展している分野は主に二つあります。一つは中医臨床の研究、もう一つは中西医結合の分野です。中医学の発展の根本は中医学の理論とその分析方法です。
中医学の基本を身につけることは、常に新しい情報を正しく取り入れることが出来るようになり、臨床力の向上となります。